― 小規模事業者がゼロから始めるグローバル営業 ―
「海外に商品を売りたいけど、何から始めればいいのかわからない…」
そんなお悩みを持つ中小企業・個人事業主の方は少なくありません。国内市場の成熟化に伴い、新たな成長機会を海外に求める声が高まっていますが、実際に海外販路を開拓するとなると、言語の壁や法規制、商習慣の違いなど、様々なハードルが立ちはだかります。
今回は、法人向けの海外販路開拓に必要なステップを実務的に解説します。特にB2Bでバイヤーを探す場合、SNSやメール営業だけでなく、法令面や信用づくりなど多角的な準備が求められます。
この記事を参考に、体系的にアプローチすれば、今日からでも海外展開への第一歩を踏み出せるはずです。
ステップ①:ターゲットバイヤー(ペルソナ)を明確にする

海外販路開拓において、最も重要なのは「誰に売るのか」を明確にすることです。
日本では個人向けに販売していた商品でも、海外では小売バイヤー、ディストリビューター、卸売業者、施設運営者など、法人単位での顧客像が大きく変わることがあります。
具体的な設定項目
対象国・地域の選定 アジア圏への展開なのか、欧州市場を狙うのか、それとも中東やアフリカなどの新興市場に注目するのか。各地域の経済状況、文化的背景、競合状況を踏まえて決定しましょう。
業態の明確化 ターゲットとなるバイヤーは、EC事業者なのか、実店舗を持つ小売業者なのか、商社なのか。業態によって求められる商品スペックや取引条件が大きく変わります。
決裁者の特定 現地の社長クラスにアプローチするのか、バイヤー担当者に直接コンタクトするのか。組織の規模や文化によって、効果的なアプローチ方法が異なります。
これらを具体化することで、アプローチの内容、使用する言語、営業資料の作り方まで、戦略全体の方向性が自然と決まってきます。
ステップ②:法令チェック(輸出可否と相手国規制の確認)

多くの事業者が見落としがちですが、営業活動を始める前に必ず確認すべき重要なステップがこの法令チェックです。
日本側のチェック(輸出貿易管理令)
該非判定が必要な商品 化学品、電化製品、特殊素材、精密機器など、安全保障上の理由から輸出が規制される可能性のある商品については、事前に該非判定を行う必要があります。
確認方法 一般社団法人CISTECの「該非判定早見ツール」を活用するか、必要に応じて貿易実務の専門家や弁護士に相談することをお勧めします。
相手国側のチェック(輸入規制・認証)
食品・化粧品関連 現地での成分審査や表示規制をクリアする必要があります。特に、添加物や保存料の使用基準は国によって大きく異なります。
電化製品 CE(欧州)、FCC(米国)、PSE(日本)などの技術認証が必要な場合があります。これらは製品の設計段階から検討する必要があります。
動植物由来品 ワシントン条約(CITES)の対象品目でないか、事前に確認が必要です。
営業活動を開始する前にこれらを十分に確認しておくことで、後になって「売れない」というリスクを未然に防ぐことができます。
参考:JETRO
ステップ③:商品資料と販売戦略の整備
海外バイヤーとの商談では、明確で分かりやすい資料が信頼関係の構築に直結します。
必要な資料・情報
英語版の商品カタログ PDF形式で整備し、商品の特徴、仕様、価格帯を明確に記載します。可能であれば、商品の使用シーンや顧客の声も盛り込むと効果的です。
希望取引条件の明示 最小注文数量(MOQ)、納期、決済条件(前払い、後払い、L/Cなど)を明確にしておきます。これらの条件は、相手の要望に応じて柔軟に調整できる範囲も決めておきましょう。
貿易条件の設定 FOB(Free On Board)、CIF(Cost, Insurance and Freight)などの貿易条件を明確にし、誰がどこまでの費用を負担するかを明示します。
認証取得状況 ISO、オーガニック認証、ハラル認証など、取得している認証があれば積極的にアピールします。
可能であれば、英語だけでなくターゲット国の現地語にも対応できると、より深い信頼関係を築けます。
ステップ④:オンラインでの信用構築
いきなり商品を売り込むのではなく、まずは「この会社は信用できるパートナーである」と認識してもらう仕組みづくりが重要です。
信用構築のための施策
会社の英語ホームページ 企業の実績、沿革、代表者メッセージを掲載し、会社の信頼性を訴求します。特に、これまでの海外取引実績があれば積極的に紹介しましょう。
LinkedInの活用 企業ページの充実と代表者の個人アカウントを整備します。業界の最新情報を発信することで、専門性をアピールできます。
公的機関での実績 JETRO(日本貿易振興機構)の出展歴や展示会参加歴があれば、必ず記載します。これらは海外バイヤーにとって重要な信頼指標となります。
B2Bプラットフォームの活用 Alibaba、Global Sources、Made-in-Japan.comなどのB2Bプラットフォームに企業情報を掲載し、海外から検索されやすい状態を整えます。
これらの施策により、積極的な営業活動と並行して、受動的にも商談チャンスが生まれる環境を構築できます。
ステップ⑤:バイヤーリスト作成とアプローチ
具体的な見込み客を特定し、効果的なアプローチを行います。
見込み客の探し方
展示会出展企業リスト 業界の展示会に出展している企業は、新商品の導入に積極的である可能性が高いです。展示会の公式サイトや出展者リストを活用しましょう。
LinkedInの業種検索 LinkedIn Sales Navigatorを活用すれば、業種、企業規模、地域などの条件を細かく設定して、ターゲットとなる企業や担当者を効率的に探すことができます。
連絡方法とコンテンツ
コールドメール(英語) 件名は具体的で興味を引くものにし、本文では相手の課題解決につながる提案を心がけます。
LinkedIn DM 相手のプロフィールを確認し、個人的な関心事や企業の取り組みに言及することで、親近感を醸成します。
Instagram DM 特に革製品、食品、ファッション関連の商品の場合、視覚的なアピールが効果的です。
いずれの場合も、相手の利益を意識しながら、「御社の扱う○○に合う商品があります」といった提案型のアプローチが効果的です。
ステップ⑥:オンライン商談と見積提示
ZoomやGoogle Meetなどを活用したオンライン商談が主流となっています。
商談で提示すべき内容
商品紹介スライド 視覚的に分かりやすく、商品の特徴と競合優位性を明確に伝えます。
価格条件の明示 FOB価格、CIF価格を明確に提示し、追加費用が発生する可能性がある項目も事前に説明します。
発送方法・納期 航空便、海上便の選択肢と、それぞれの費用・期間を具体的に示します。
契約条件 返品可否、支払条件、品質保証の範囲など、トラブルを防ぐための条件を明確にします。
海外取引では「見積内容を正確に文書で残す」ことが信頼関係の構築に直結します。商談後のフォローアップメールは必須です。
ステップ⑦:契約・出荷・アフターフォロー
商談がまとまったら、実務面でのミスを防ぐことが重要です。
実務手続きの流れ
契約書作成 取引条件、クレーム対応の方法、契約期間などを明記し、双方が納得できる内容にします。
貿易書類の作成 インボイス、パッキングリスト、原産地証明書など、必要な書類を正確に作成します。
輸出通関・物流手配 複雑な手続きについては、通関士や国際物流業者に相談することで、確実な手続きが可能になります。
納品後のフォロー 商品が到着したら、品質に問題がないか確認し、顧客のレビューを依頼します。定期的な連絡を通じて、関係性を維持します。
リピート受注につなげるには、「売って終わり」にせず、現地のニーズをヒアリングし、改善提案を継続することが重要です。
まとめ
海外販路の開拓は、確かに国内営業とは異なる複雑さがありますが、体系的にステップを踏んで進めれば、小規模事業者でも十分に実現可能です。
特に重要なのは、法令面のチェックを早い段階で実施し、ターゲットに応じた戦略的な提案・接触を行うことです。そうすることで、海外パートナーから信頼される長期的な関係を構築できます。
海外展開は一朝一夕には成果が出ませんが、継続的な取り組みによって、新たな成長機会を掴むことができるでしょう。まずは小さな一歩から始めて、着実に実績を積み重ねていくことをお勧めします。
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